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楽しいことだけやればいい [MBA]

ようやく、ついに今期最大の懸念であったICPⅡ(Internationak Comepetitive PolicyⅡ)の授業のレポートが終わりました。

32ページという、日本語でも卒論以外で書いたことの無い量のレポート、しかも戦略論について書くということで、書き始める前からずっと不安だったのですが、なんとか自分の納得のいく(?)内容で仕上げることができました。

ICPⅡという名の通り、去年にICPⅠの授業もあったのですが、最後の試験で完全撃墜され、唯一「C」の成績をつけられてしまった苦い経験があります。

Internationak Comepetitive Policyという科目名からはあまり推測がつきませんが、いわゆるストラテジー(企業戦略)の授業で、それなりに試験の対策はしていったつもりだったのですが、3時間の試験時間内に5ページ、12個のミニケーススタディを読んでそれぞれのケースについての企業戦略分析を行うという、難易度、時間的制約、英語運用力のそれぞれに最高レベルの厳しさを備えたテストでした。

やはりインターナショナルの生徒、特に東アジア人にはかなり無理のあるテストだったようで、周囲にも私同様に派手に散った人がずいぶん沢山いたようです。

教授はRam Baliga(通称ラム☆)というバブコックの中でも実力は筆頭格と言われるインド人の先生で、見た目からしてインドの山奥で修行してダイバダッタの魂宿したような顔をしており、生徒へもけっこう厳しいことを言います。

授業のしょっぱなから「オレ様は結果しかみないからね。こんなに努力したとか、そういうことはオレ様には関係ないから」とのたまったり、授業のディスカッション中にも「もうちょっと頭使えないの?」とか「お前らのセクションはマジでイケてない」「お前ら、授業料ドブに捨ててるね( ´,_ゝ`)プッ」とか、かなり挑発的な発言を連発します。でも確かに彼の記憶力、論理力というのはちょっとすさまじく、授業中はその圧倒的な知識量とロジックで常に生徒を圧倒し続けます。なんで、言われた側もただ恐れ入るしかない・・みたいな感じで、結果として生徒からの人気は意外と高いようです。

で、話がそれましたが今回のレポートの課題は「自分が卒業後に働く予定の業界、またその中の特定の企業を取り上げて、その市場環境、従来戦略、将来戦略について分析せよ」というもので、「ページ数は特に定めないけど30~40ページは欲しい。あと、レポートは全て自分の頭で考え、自分の言葉で書け。カンパニーヒストリーとかのダラダラしたDescriptive(説明的)な描写で字数を稼ぐやつには生まれてきたことを後悔するくらいの目に遭わせてやる(注;意訳です)」、とのことで、完成にはかなりの時間がかかることが当初から予想されていました。

私自身、英語でこの分量のレポートを書く構成力に自信がなかったので、エクセルで主要なトピックや使用するフレームワーク(5フォース等の分析ツールのことです)をボチボチとまとめていき、ライティング自体ははまとまった時間に一気にやろうと考えており、サンクスギビング休暇の5日間をまるまるこれに費やしました。

書くこと、構成はだいたい既に考えてあるとは言え、やはり戦略論ということで非常にロジカルな内容を要求されるので、私の英語力では一日の生産量は7ページ程度が限界。一枚一枚、まさに命を削るようにして書き続け、休暇の最終日になんとか魂の傑作(?)を完成させることができました。

で、この過程で気づいたこと(SouthPark的に言うと「You Know, I Learned Something Today」)が、「楽しいことをやるのは疲れない」という(当たり前の?)ことです。

手をつける前は憂鬱でしょうがなかったこの課題ですが、いざ書き出してみると、英文を書くことの精神的・肉体的消耗はあるものの、授業で習ったフレームワークを自分の会社(私は社費なので自分の会社の戦略、業界分析について書きました)に当てはめて見ると、想像以上にいろいろなものが見えてくるものです。

飲みの席なんかでよく言う「うちの会社は~がダメだよな」とか「~だけは他の会社と比べても強いんだけどね」とか「~社が本気出したらうちの会社なんてイチコロだよ」とか、そういった現場レベルで感じる会社の強み、弱みというものを(勿論情報の精度は高くないといけないですが)ポーターの5フォースやVRIO等のフレームワークに即して企業戦略の座標にプロットしていくことによって、それぞれの因果関係、潜在的脅威、企業の突破口、あるいは袋小路というものが可視化されてくるわけです。

企業戦略というのはとかく総花的あり論理的であって、私のように頭の回転が水車小屋の石臼並みに鈍重な人間にはとっつきにくい代物と思っていたのですが、フレームワークをじっくりと現実に当てはめながら考えていくことによって、ある程度の蓋然性を持った戦略分析を行うことができるのではないかという知見を得られた気がします。

地頭の良い人の中にはフレームワークを使わなくてもそれなりに切れ味の良い戦略分析ができる人もいるとは思うのですが(ラム☆も別に絶対フレームワークを使えとは言っていない)、むしろこの課題では、愚直にフレームワークを使って分析を行ってみることによって、その汎用性、網羅性を実感し、自分の頭だけでは追いきれない視点があることを認識し、その部分をフレームワークを使って補完していく、そういう実習的な作業を通じてフレームワークの有用性を実感し、実践への足がかりとすることに意義があるんではないだろうか?そんなことを思いました。

MBAにおけるフレームワークの重要性というのは最近よく考えるようになったポイントなのですが、これについてはまた後日、別の形で説明できればと思います。

で、また話が逸れてしまいましたが、いくら負荷の高い作業といえど、楽しい事であれば疲れない、ということを今回の課題で殊更に実感しました。仕事が忙しくてもやりがいがあれば我慢できるのと同じことでしょう。そして逆に、MBAという場で自分がつまらないことをやるのは本当に意味がない、と思いました。

現実世界の仕事の中でつまらないことをやらされるのはしょうがないことだけど、MBAという場はきっとアカデミックの世界ではなくて、現実世界で役に立つことだけ、明日のメシの種を稼ぐのに役立つことだけを学ぶ場であるはずです。そのような場所で、学んでつまらないと感じる課題、あるいは授業は、きっと自分のメシの種にはならないことなのだと思うのです。

「算数なんてつまらない、意味が無い」とぼやいてる小学生ではあるまいし、我々MBAの学生は、四則演算どころか回帰分析や自然対数の概念までが現実の世界、ビジネスの場に深く根ざしているものだということを知っている。学問の必要性に対するリテラシーは既に最高度に高まっているわけです。そのような状態でもまだつまらないと感じるものは、おそらく現実世界には関係のない、きっとMBAでは学ぶ必要のないことなのでしょう。

また長い文章になってしまいました・・・。要するに今回のもうひとつの「You Know, I Learned Something Today」は、「次のセメスターでも、楽しいと思える授業を取りたい、取らなければいけない」と思ったということです。あまり締まりのない結論になってしまいましたけど。




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コメント 6

M

すばらしい知見ですね。今からICPも覚悟をしなければ、、、。私も参考にさせて頂き次のセメスターに臨みたいと思います。しかし1年のマーケティングはフラッシュメモリに単語記憶するだけの本当に意味無し状態です。それ以外の科目は実践にどう活かすかを考えさせられる原石が散りばめられた良い科目だと思います。
by M (2007-12-07 10:42) 

Yoshi

趣旨に合ってるかどうか疑問ですが、とにかく「勉強」って楽しいですよね。あぁ、勉強だけして給料がもらえるのならずっとこのまま勉強していたい(笑)
by Yoshi (2007-12-07 15:01) 

ハイペリオン

Mさん

ICPはちゃんと準備して授業に臨めばかなりexcitingなものになると思います。もし冬休みに時間があれば、指定教科書の日本語訳である「企業戦略論」を流し読みでもされておくことを強くお奨めします。かなりスムーズに授業の内容に入っていけると思います。

MKTはコンセプト重視なのでやっぱり覚えておかないといけないところはあるんですよね・・そう思って去年は「暗記も重要」と自分に言い聞かせながら頑張ってフラッシュメモリに詰め込んでたのですが、一年経った現在、当時暗記したことを何一つとして覚えていないことを考えると、やはり意味無しかもしれません・・。
by ハイペリオン (2007-12-07 16:01) 

ハイペリオン

Yoshiさん

勉強の中でも、Professional Schoolでの勉強というのは殊更に楽しいものなのかもしれませんね。

机に向かっている時でも、刀を研いで戦に備えているかのような高揚感を感じることがよくあります(笑

私の専攻であるオペレーションも、発祥は戦争からと聞いていますから・・・なんか急に光栄の「三国志」がやりたくなってきたな(笑)
by ハイペリオン (2007-12-07 16:22) 

Yoshi

そうか、何でも発端は戦争なんですね。
私の愛読書「ローマ人の物語」にも兵站がサプライチェーンマネージメントに似てるとか書いてあったのを覚えてます。
by Yoshi (2007-12-10 14:21) 

ハイペリオン

戦争ですね、経営学も法律学も留学も。

人生なんて一事が万事。常にその一瞬一瞬に生きるか死ぬかのテンションで臨まないといけないといけないということでしょうか・・いや、話が全然違うな・・(笑)
by ハイペリオン (2007-12-14 18:42) 

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