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開けると臭うかものコインロッカー [MBA]

え~と、それでは昨日(笑)の続きです。

で、10日ぶりくらいに学校のプールに泳ぎにいったわけなのですが、こっちのプールというのはまず更衣室からしてトラップが仕掛けてあるわけです。

アメリカの公共施設のロッカーというのは、日本みたいに輪ゴムがついてて手首にはめておける鍵なんてものはついてなくて、大抵は自前の鍵を持っていって施錠します。なので、一見の人で自前の鍵を持って来ていない人は、この時点で「ハイ、消えたぁ!」となります(もちろん私も一度目はこれにやられました)。

なので、まずはホームセンターとかに行って鍵を買ってこないといけないわけなのですが、こっちには日本みたいな鍵のついたシリンダー錠とか3桁の数字を揃えるタイプのは無くて、金庫とかについてるダイヤル錠(マンガとかで金庫破りがよく挑戦してる、右に何回、左に何回とか回転させて開けるやつ)が主流になっています。

これが中々のくせもので、3桁の数字を合わせる錠と違い、この右or左と数字の組み合わせを覚えるのが30代に差し掛かったスポンジ脳の私には非常に手ごわい代物なのです。

というのも、学校内にある私物収容用の個人ロッカーにも同じようなダイヤル錠がついており、この組み合わせとプール更衣室用に買ったダイヤル嬢の組み合わせが自分の頭の中でゴッチャになってしまうのです。(例えば、右2→左4→右6と右3→左5→右7の組み合わせが右2→左5→右6みたいに頭の中で混ざってしまう)。

で、この日も更衣室で施錠をする前に、携帯のメモリに入れておいた自前の鍵の組み合わせを確認し、頭の中の短期記憶領域にインプットしておいたわけです。

で、40分ほど泳いできた後に、その記憶を呼び覚ましてダイヤル錠をまわしてみたのですが・・

開かない・・・

気を取り直してもう一度丁寧に試してみるのですが、やはり開く気配は一向に無し・・。

「落ち着け、落ち着くんだ・・」内なる自分の声に耳を傾け、自分の頭にある3つの数字の全ての組み合わせを試してみますが、相変わらずつれない反応のダイヤル錠・・。やり場のない怒りで顔がだんだん熱くなってきます・・。

どうやら、今の自分の頭の中にある3つの数字のうち、少なくとも1つの数字が間違っているという疑いが濃厚になってきました。あるべき本当の数字が水泳中に何かの拍子で上書きされてしまったようです。

「解き放たれろっ!今の自分から・・ありのままの自分を取り戻すんだっ・・」

自分の内なる声も、だんだん混乱してきているようです。と、そこへ自分ひとりだった更衣室へ、同じく水泳を終えた白人男性が帰ってきました。

「もしかしたら彼がこの状況を助けてくれるのではないか・・?」

藁どころか、かいわれ大根にすがるくらいの絶無に近い可能性にまで依存するほど心が弱くなっている自分に驚きます。おそらく海パン一丁というこの上なく身体的に無防備な状態に置かれている事が精神にも作用しているのでしょう。

白人男性は私がこれみよがしに鍵が開かないというリアクションをしていることに気づいてはいたようですが、こともあろうか「Good Luck!!」という無常極まりない言葉と、無意味なくらいにいい笑顔を残して去っていきました。

この時点で更衣室に戻ってきてからおそらく15分近くが経過しており、さすがに私ももう鍵が開く可能性はあきらめ、今後の行動オプションを模索し始めました。

1、知り合いに電話して助けてもらう
2、家に帰り、なんとか体勢を整える
3、体育館の警備員に頼んで鍵を壊してもらう

の3つのオプションが思いついたのですが、1のオプションに必要な「携帯電話」と「知り合いの電話番号」、2のオプションに必要な「車の鍵」、あるいは「靴」さえも、全てこの硬く閉ざされたロッカーの中に眠っています。

というわけで、今の私に残されたオプションは、3のみです。体育館の警備員の詰め所は2階の正面入り口の辺り。現在位置は地下の更衣室。

海パン一丁でその距離を移動するのか・・この10月も半ばのこの季節に・・。というより、施設内をこんな格好で歩いてたら警棒で叩きのめされたりはしないのだろうか?・・色んな不安が頭をよぎります。

しかし、とにかく寒くなってきたのでもうそこに行くしかありません。人気の無い廊下や階段を裸足でペタペタ歩いていきます。それがまたなんというか、非常に心もとないというか、情けないというか恥ずかしいというか・・とにかくブルーな気分です。映画「ターミネーター」の冒頭で裸で歩かされているシュワルツネッガーの気持ちが分かる気がしました。

で、無事に警備員の詰所まで辿り着き(警棒で殴られることも無く)、事情を説明せんと試みます。

私;「Ah~, sorry I forgot password for my locker...」

警備員;「What? password?」

(ああそうか、パスワードというのとは違うな・・じゃあなんて言うんだろう?)

私;「Ah~, I mean..like..eight to right, six to left, again four to right or blah-blah-?」

(あ~っ、ブラブラの使い方全然間違っとるな~)

警備員;「・・・?」

私「So...I can't open the door of my locker because I'm little bit messed up..」

警備員;「Oh~! You lost your conbination right?」

(それだ~っ!!そうか、コンビネーションっていうんやな~)

私;「Ye~s!! That's it!!」

というわけで、体育館の入り口で海パン一丁で警備員と低レベルなやりとりをした甲斐あって、警備員が巨大ハサミ(刑事ドラマとかでマンションに強制捜査に入る時にドアチェーンをぶった切るアレ)を持ってきて、私のダイヤル錠を破壊してくれることになりました。

私;「これが僕のロッカーの鍵だよ。これを壊して欲しいんだ」

警備員;「よ~し、任せろ!」

警備員が巨大ハサミを振り上げ、私のダイヤル錠のロックする部分をガッチリ挟みます。

警備員;「せ~のっ、ふんっっっ!!!」

巨大ハサミに渾身の力を込める警備員

警備員;「ぬう~っっっ!!!」

その姿を祈るような気持ちで見つめる私・・

警備員;「ふ~むっっっーーー・・・・・・」

警備員;「ん~っ・・・・・・・。う~ん、これ無理だわ・・」

私の心の声;「なんでやね~んっ!!」

警備員;「うんうん・・これは無理だね」

私;「いやいやちょっと待ってくださいよ、無理ってじゃあ私はどうなるんですか?今度は私にやらせてくださいよ。」

こういうときのアメリカ人の諦めのよさ(というか親身の無さ)は身にしみているので、あと頼れるのは自分自身の力だけです。三十路を超えたとはいえど、柔道と水泳で鍛えた広背筋にだけは未だ自信があります。

私;「よ~し・・・。ぐぁ~~~~っっっ!!!」

・・・ということで、文字通り火事場のクソ力でダイヤル錠を見事粉砕し、およそ2時間ぶりに再び服を着ることが出来たわけです。服はやはり暖かかったですね。服っていいもんだと思いました。

そういうことで、どうでもいい話ほど長くなるというか、もう少し話を簡潔にできないものかと思いますが、まあそういう出来事があったということが言いたかったのです。ちなみにこの事件以来、プールに行くときはロッカーの鍵はかけないことにしました。貴重品は全部車の中において、車の鍵だけプールサイドにタオルとかと一緒においておくことにしました。勿論私の服を盗む人なんていないので・・。

やはりパソコンのバックアップとかもそうですが、重要な情報というのは常にバックアップを取るか分散して保管する等して、リスクをヘッジしておくべきですね。そうしないと本当に裸一貫からやりなおさなくてはならない破目になりますから。これからはくれぐれも気をつけたいと思います。


事件現場となったプールの更衣室。ちょっと臭います・・。


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