SSブログ

MBA(経営学)を独学で学びたい人の為の教科書(テキスト) Part 2 [MBA]

★ サプライチェーン関連 ★

サプライ・チェインの設計と管理―コンセプト・戦略・事例

サプライ・チェインの設計と管理―コンセプト・戦略・事例

  • 作者: 久保 幹雄, D. スミチ・レビ, E. スミチ・レビ, P. カミンスキ
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 単行本

サプライチェーンは来学期からの履修になるのですが、予習用として購入。こちらも多くのビジネススクールで使用されている教科書の日本語翻訳版です。

巷のSCM本の殆どが「SCMってこんな感じのもの」といった表面をなぞって紹介するだけのものであるのに対し、本書では実際の企業の事例を通じたSCM構築のコンセプト、方法論をきめ細かに説明していきます。MBAの統計学の授業ではお馴染みの線形計画法による最適化の実例等もあり、OPS-GUYにはたまらない一冊ですね(笑)。

7000円と、信じられないくらいの良いお値段がしますが、巷の書店で1000~2000円の使えないSCM本を買うことに比べると遥かに有益な投資と言える本書籍、実務でSCMに携わった経験のある人でも充分に読む価値のあるものだと思慮します。

★ マーケティング関連 ★

コトラーのマーケティング入門

コトラーのマーケティング入門

  • 作者: 恩蔵 直人, フィリップ コトラー, ゲイリー アームストロング
  • 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
  • 発売日: 2000/04
  • メディア: 単行本

おなじみコトラーによるマーケティング本の定番となる一冊です。

約700ページというボリュームにより4PやPositioning等、マーケティングにおける基本コンセプトを網羅しているので、本棚に常備してリファレンス的に使うと便利な一冊です。

また、マーケティングに興味のある人が少しずつ時間のあるときに読み進めたりするのにも向いてる本だと思います。

ただ、やっぱりマーケティングというのもコンセプトだけではどうにもならないものだと思うので、やはりタイトル通り「入門」レベルにとどまる一冊であり、実践レベルとは若干の乖離があるような気もします・・。

MBAのマーケティングは4P等のコンセプトの理解よりも、統計学を用いたデータ分析のほうが圧倒的に実践的であり面白い部分だと思うのですが、その辺をカバーしている教科書というのがなかなか翻訳されていないようです(私が知らないだけかもしれませんが・・)。

★ ファイナンス関連 ★

新版 ファイナンシャル・マネジメント ― 企業財務の理論と実践

新版 ファイナンシャル・マネジメント ― 企業財務の理論と実践

  • 作者: ロバート・C・ヒギンス
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2002/10/01
  • メディア: 単行本

私はファイナンスに関しては門外漢なので(MBAに来ててこんな言い訳通じるのかどうか知らないけど・・)、この分野に関してはあまり偉そうに口を挟めないのですが、門外漢の立場としてこれは素晴らしい!と思ったのが本書。やはり米ビジネススクールでの定番的教科書の翻訳本です。

企業活動の集大成とも言える財務諸表(損益計算書、賃借対照表、キャッシュフロー計算書)、これをもっとよく勉強し、深く理解したいと思っているビジネスマンは沢山いると思います。私もそのうちの一人でした。

しかし、じゃあどうやって勉強すれば良いかというと、これがなかなか良い勉強材料がないんですよね。

まず思い当たるのが簿記の勉強ですが、やはり3級とか2級の簿記の勉強というのはどちらかというと仕分け等の実務にフォーカスしている傾向があり、マネージャーレベルの財務諸表リテラシーを養うのとはちょっと方向性がズレている気がします。

だからといって巷の書店に溢れている「10分で分かる財務諸表」とか「やさしい財務諸表の読み方」といった入門本、私も買ったことありますが、確かに入門用としては優れているのかもしれないけれども、如何せん内容が浅すぎる・・。入門用があるのなら中級者用、上級者用もあるのかと思えばそういうのも見当たらないし・・。

という具合に「財務諸表の勉強材料難民」としてなかなか良い勉強材料に出会うことの叶わなかった私でしたが、ついに本書という非常に優れた一冊を見つけ出すことが出来ました(Amazonは素晴らしい!)

本書では440ページという大量の紙面を割いて財務諸表の解釈やその評価、予測といった「財務分析」にガッチリとフォーカスを置いており、いわゆる公認会計士や税理士等の財務のプロとはまた異なった(どう異なっているのかは実はよく分かりませんが、なんとなく・・)、ビジネスマンの為のコーポレートファイナンスの教科書と呼び得るものだと思います。

なので、例えば経理部門等で働きたいわけではないけど、とりあえず会社のお金の流れを少しは分かるビジネスマンになりたい・・などと思ってる方には非常にお勧めの一冊だと思います。

★ 最後に ★

というわけで、現時点でお勧めできるMBA(経営学)独習用の書籍を数冊挙げてみたわけですが、見てお分かりのように、いずれもアメリカのビジネススクールで教科書として使われている本の日本語翻訳版が殆どを占めています。

というのもやはり、アメリカの大学の教科書(特に経営学の分野)というのは、教授と出版社が一体となって「理解と実践」というものに最大のプライオリティを置いて作り上げられたものなので、その分かりやすさと実用性においては、日本の大学教授が自己満足のみで書いた(そして自分の授業だけでしか使われないような)教科書や、出版社が適当なライターと屁をこきながら作ったような無価値な入門本とは、まさしく雲泥の差があるわけです。

ちょっと話が逸れますが、今の出版業界の潮流なのかもしれませんが、キャッチーなタイトルでライトな読み口の本ばかりを取り上げるあまり、こういった腰を据えて読まないといけないような本の存在がとことん軽視されている気がします。というか、「鈍感力」みたいに「老人力」のパクリなのかなんなのか、いずれにせよそんなどうでもいい本ばかり読んでどーすんだ!と思います。

エンターテイメント部門では世界トップレベルとも思える作家や作品が続々出てきているのに対して、日本のノンフィクション部門の書籍、特に最近の売れ筋の本というのは、もう本当に毒にも薬にもならないというか、私が始皇帝だったら残らず焚書にしてるね!というようなレベルの本ばかりですね。

ちょっと最後、鼻息が荒くなってしまいましたが、また残りの半年間で良い本を見つけることが出来れば、こちらで紹介していきたいと思います。


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 4

M

日本語訳本は助かりますね。参考にさせていただきます。しかしこれらの書物にひとつ注文をつけるとすれば、機械的な翻訳ではなく、100%内容が分かっている人に意訳をしてもらいたいです。しかしながらとか機会があるとか、二重否定とかやめて欲しいですね。
by M (2007-12-16 08:46) 

ハイペリオン

ありますね、いかにもこれ逐語訳だろ~ってすぐ分かるような本・・。翻訳、監修は大抵は専門分野の大学教授がやってる場合が殆どだと思うんですが、それでもやはり逐語訳は目に付くものです。

私も大学時代、サークルの斡旋で1900年代前半のイギリス・レスリングに関する文献の翻訳のバイトをしたことがありますが、「Catch as catch can」スタイルをどう日本語に訳すのかさっぱり分からず、結局カタカナで「キャッチアズキャッチキャン」スタイル、とそのまま書いておいた記憶があります・・。
by ハイペリオン (2007-12-16 12:09) 

Yoshi

ハイペリオンさんのこのブログを読んで、私の大学時代の恩師が「分かりやすい本というのはそもそも眉唾なもんなんだ。ちゃんと書いている本というのはそれなりに難しいものなのだ」とおっしゃっていたのを思い出しました。どの分野も結局は同じなんでしょうね。簡単な本を読んで近道をしたつもりでも結局は遠回りだったり…。
by Yoshi (2007-12-16 13:31) 

ハイペリオン

ですね~。やはり学問に近道無し、ということなんでしょうね~。

にしても、日本は簡単すぎる本と難しすぎる本の両極端化している気もします。私が学部の時に使っていた統計学の本なんか、何度読んでも意味不明でしたから・・。
by ハイペリオン (2007-12-16 14:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。